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【やっぱり残念】別れが惜しまれるスマートなコンパクトカー物語 この4台は間違いなく都市交通のスマートなソリューションだ!

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【やっぱり残念】別れが惜しまれるスマートなコンパクトカー物語 この4台は間違いなく都市交通のスマートなソリューションだ!

スマートなコンパクトカー:フィアット500、シトロエンC1、VW up!、そしてルノー トゥインゴへの敬意!メーカーは収益を上げるのが難しいため、コンパクトカーは市場から姿を消しつつある。だがコンパクトカーこそ都市交通のスマートなソリューションだ。

4台のスマートなコンパクトカーへのオマージュ

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その1: フィアット500今回の4台の中で、フィアット500はややカテゴリーから外れるんじゃないのかな、と個人的には思う。というのも、そもそも500が出る前には「トレピウーノ」という名前でコンセプトカーが発表され、その時点ではパンダよりも上級のプレミアムラインとしてフィアットは発表したからである。

フィアット 500は2007年の発表から17年も経過しているが、その魅力は色褪せない。Photo: Roman Raetzke実際に内装などは今見てもお洒落で上質なつくりだし、エンジンだって4気筒が標準で、決して3気筒のベーシックな路線の自動車ではない。残念ながらなくなってしまったツインエアの2気筒エンジンだってベーシックなモデルというコンセプトではなく、複雑で高度なメカニズム満載のエンジンだったため、実際に4気筒のモデルよりも高価で上級なものとして売られた。

フィアットらしいフィアットが「フィアット 500」だ。Photo: Roman Raetzkeまあそれはさておき、2007年発表、ということはもう17年も経過してしまうが、まったく古くさく見えないし、このまま延々と作り続ける可能性も濃厚だ(と思う)。そういえばこの車が2007年に千鳥ヶ淵のイタリア文化会館で発表された時のことを思い出す。まだ春と呼ぶには早い時期に行われた500の日本お披露目会に、幸いにも僕は参加させていただいた。桜の開花はまだかなり先だというのに、ヒーターで暖められて強引に花を咲かせられた生花が華々しく飾られ、数台の500がまぶしいばかりのスポットライトを浴びて並べられていた。

コンパクトカーの鏡「フィアット 500」Photo: Roman Raetzke実は登場前から500が日本に導入されたら購入を企んでいた僕は、かなり真剣に実車をしげしげと眺めていた。そこに当時のフィアットの広報部長だったサラ セレリさんが登場し、さらに華やかさを増す会場で。「アナタ、何色が欲しいのぉ?」とサラさん。「水色がちょっとお洒落でいいかな、と思っているんですけど」と僕。「ワタシねぇ、あの色、一番ダサくって嫌いネ」・・・。さすがヨーロッパの人は忖度なく自分の意見を明確に主張するものだ、と痛感した瞬間だった。それからずいぶん時間が経過してから、僕が中古車で購入した500ツインエアは黄色であった。

「フィアット 500」を買うならこの水色がいいと思っていた筆者だが・・・Photo: Werkその2: シトロエンC1 II「シトロエン C1」のリアウィンドウはヒンジで開くポップアップタイプ。Photo: Toni Bader残念ながら日本には正式導入されないままのシトロエンC1だが、本来はトヨタ、プジョー、シトロエンの共同開発によるモデルで、トヨタでアイゴと皇族のような名前で呼ばれて売られているコンパクトカーである。実際に僕の周りでシトロエンC1を個人輸入して乗っている方がいるのだが、実物は思ったほど小さく見えず、なかなか立派な大きさの自動車と感じた。

これは他のシトロエン(あるいはプジョー)のモデルの大きさが拡大化しているためで、一つ上のセグメントは(例えばプジョー208など)、3ナンバーの大きさのボディとなっている。こういう全世界的な自動車の大型化は困った問題で、小さいほうが使い勝手もよく、車庫の問題などで、この大きさでなくては困る、という人もいるはずなのに自動車だけはどんどん大きくなってしまうのはいかがなものなのだろうか。

活発な「シトロエン C1」の3気筒エンジン。Photo: Toni Baderという話はともかく、このシトロエンC1、まあ内容はどうってことのない3気筒エンジンのベーシックな自動車だし、下に開かない後ろのリヤウインドーを見てもコスト重視なことがわかる。それでも決してチープにとか、女子向け(と言うとジェンダー的にたたかれる世の中なのだろうか・・・)のカラーリングに走ることなく、できるだけお洒落にしようと頑張っているところがフランス的で微笑ましい。この写真でも妙な処理に見えるBピラー部は、ポールスミスの洋服のようにマルチカラーの処理がなされており、これだけでずいぶん印象が向上するようにも思えるのはひいき目なのだろうか。

シトロエン・ジャポンも、こういう小さなシトロエンをできるだけベーシックな仕様(マニュアルミッションとか)で導入したらなかなか面白かったのになぁ、とは思う。だが、もし仮に導入されていたとしても、シトロエン・ジャポンが満足する台数が売れたかと聞かれると答えに窮する。そもそもシトロエンみたいな自動車は、秘密の花園的にひそやかなほうが珍重されるものだが、そうはいっても導入コストをペイできなければいけないだろう。それに、1台売れたとしてもこういう安いモデルの利益というのはたかが知れているし、かえってラインナップの中のお荷物になりかねない。

そう考えるとC1を導入しなかったことは、まあ理解できるが、それでもちょっと残念だなどと思ってしまうのだから、自動車エンスージャストというのは始末が悪い人種である。

残念ながら日本には正式導入されなかった「シトロエン C1」はトヨタ、プジョー、シトロエンの共同開発モデルだ。Photo: Toni Baderその3: VW up!デビュー当時日本の自動車メディアは「up!」を褒め称えた。大林晃平:この「up!」が登場した時、多くの自動車雑誌は大々的に取り上げたものだ。中でもカーグラフィック誌の取り上げ方は一番「推し力」が強く表紙も「up!」だったし、現地試乗した編集記者などは「自動車の価値感を変えるほどの存在」と評した。

実際に「up!」は(所有していたこともあり)、実に偏差値の高い一台で、特に高速での安定感やスペースユーティリティの面で、この4台中圧倒的な完成度を誇る。おそらく開発コストやそこに込められたエネルギーなどは、相当なものであろう、と感じてしまうほどのバランスの取れた一台だった。

「up! GTI」のコックピット。「up!」にはマニュアルトランスミッションが似合っていた。そっけないけれど必要十分以上の装備、決して手を抜いていない自動車の基本的な、走る、曲がる、停まるの部分はもちろん、デザインも古くさくならないばかりか、今のフォルクスワーゲンのモデルよりもずっとシンプルで機能的だ。でもなぜか「up!」は、人の記憶から忘れ去られそうな存在になってしまっている。

個人的にその問題点を考察すると、本国の記事にも記されているが、シングルクラッチの自動変速トランスミッションが原因なのではないか、とちょっと思う。ギクシャクと下手くそな変速を繰り返しながら、日本の路上にはまったく合わないシフトタイミングを繰り返すし、信頼性も低く、実際に僕の所有した「up!」も一度トランスミッションを全交換している。保証期間内だったため助かったが、それ以降だったら相当の金額がかかったことだろう。

せっかくの完成度の高い「up!」なのに、このミッションの完成度はあまりにも他のDSG搭載のフォルクスワーゲンと違いすぎる・・・。さらに日本市場にはスポーツモデルのGTI以外にはマニュアルミッションを選択できないという不条理さ。フォルクスワーゲンジャパンが、もしベーシックな4ドアにマニュアルミッションを組み合わせて売っていたならば、もう少し「up!」は日本で自動車好きに受け入れられたのかも、そう思うと日本導入の車種選択が残念でならない。

蛇足ながら僕の所有していた「up!」(5ドア初期モデル)は、小学校の同級生であるナイトー君の家に引き取られ、10万kmを超えた今も健気に距離を重ねている。思い起こせばナイトー君の家には、50年近く前の小学校時代に、空冷のフォルクスワーゲン ビートルがあった。あの頃の質実剛健の「国民車」を知っている彼のような人に、「up!」は一番似合うのではないか。

日本の交通環境にマッチしていたとは言い難い自動変速機だった「VW up!」その4: ルノー トゥインゴIIIすでに詳報されているが時期のルノー トゥインゴは、BEVとして発売されることが決定している。つい先日、日本でのファイナルエディションが発表されてしまったばかりの、トゥインゴ。その魅力に関しては以前に熱く語らせていただいたばかりだが、

https://autobild.jp/31575これでベーシックな、内燃機関のルノーがなくなってしまうかと思うと残念でならない。Photo:Roman Raetzkeスマートの兄弟車として発表された3代目トゥインゴだが、4ドアでリヤエンジン後輪駆動のベーシックカー、という他の誰にも似ていない成り立ちが、登場した時から多くの注目を浴び続けてきた。

日本では大ヒットに至らなかった、と思うのは早計で、実はトゥインゴはカングーと並んでルノージャポンを支えてきた、隠れた(?)稼ぎ頭でもあった。コンスタントに販売台数を積み重ねてきたし、最後まで人気も魅力も色あせることなく歩んでくることができたのは、やはりその魅力的な成り立ちと、ベーシックながら決して手を抜かず、骨太な実用車という、ルノーの本質的な部分をしっかりと持っていたからだと思う。

RRレイアウトによる高いスペースユーティリティを実現している。Photo:Roman Raetzkeそう思うとこの4台の中で、トゥインゴがなくなってしまうことが一番残念に感じられてしまう。ちいさな内燃機関の、後輪駆動のベーシックカー・・・。それはもう今後二度と出ることのない、特別な存在の一台だからである。

https://autobild.jp/30908どんなパワーユニットでも良いから、トゥインゴにはあのカエルみたいな恰好で、早く帰ってきてほしい。トゥインゴがいないと世の中がつまらないし、寂しい。

4ドア、リヤエンジン、後輪駆動のベーシックカーという特異な構成の「ルノー トゥインゴ」。二度と生まれることはないだろう。Photo:Roman RaetzkeText: 大林晃平

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みんなのコメント

6件
  • tma********
    10年前までフィアット500に乗っていました。
    1.2Lのポップが新車で190万円でしたのでセカンドカーとして楽しい車でした。
    最近1.2Lが復活しましたが、アバルトでもない69psが300万円オーバー!
    いくら収益が見込めないといっても、これはボッタクリだよー
  • mike-mike
    3代目トゥインゴのデザイン・スタッフは2代目(?)アルピーヌA110とほぼ同じだったりする。アルピーヌA110はビジネスジェット機、トゥインゴはスポーツプロペラ機のイメージでデザインされた。特にインテリアはこのイメージで顕著に差別化されたという。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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